鋳物用クロム砂とオリビン砂の違い
天然クロム鉱砂とオリビン砂はどちらも鋳造分野で使用できますが、両者には大きな違いがあります。特に、鋳造用クロム砂とオリビン砂にはいくつかの違いがあります。
1. 構成
– 鋳物用クロマイト砂:鋳物用クロム砂とも呼ばれ、主成分はクロマイトで、化学式は通常(Fe,Mg)Cr₂O₄で表され、三酸化クロム(Cr₂O₃)などの成分を含みます。天然クロム鉱石のCr₂O₃含有量は通常約30%~55%で、Cr₂O₃含有量が46%を超えるものだけが鋳物用クロム鉱石と呼ばれます。
– 鋳物用オリビン砂:主にオリビン鉱物で構成され、化学式は(Mg,Fe)₂[SiO₄]で表され、主成分は酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO₂)、少量の酸化鉄(FeO)などです。
2. 物理的特性
– 色: クロム鉄鉱砂は一般に黒色ですが、オリビン砂は通常緑色から黄緑色です。
– 密度: 鋳造用クロム鉄鉱砂は比較的密度が高く、一般に 4.0 – 4.8g/cm³ です。オリビン砂は比較的密度が低く、約 3.2 – 3.6g/cm³ です。
– 硬度: クロム鉱石砂は比較的硬度が高く、モース硬度は約 5.5 – 6.5 です。オリビン砂のモース硬度は 6.5 – 7.0 です。
3 化学的性質
– 耐火性:クロマイト砂は耐火性が高く、1800℃以上に達することがあります。オリビン砂の耐火性は通常1690〜1710℃です。
– 化学的安定性:クロマイト砂は化学的に安定しており、金属酸化物と化学反応を起こしません。オリビン砂も化学的に安定していますが、高温では特定の金属酸化物と反応する可能性があります。
4. 熱伝導率
– 鋳物用クロマイト砂は熱伝導率が高く、鋳造工程中の鋳物の冷却を速めることができます。これにより、結晶粒の微細化が促進され、鋳物の機械的特性が向上します。特に、冷却速度に対する要求が高い鋳造工程に適しています。
– オリビン砂は熱伝導率が比較的低く、鋳物の冷却速度が遅いため、急速冷却に適さない一部の合金鋳物に対して一定の利点があり、鋳物の熱応力と割れ発生傾向を低減します。
5. 砂付着防止性能
– クロマイト砂は優れた砂付着防止性能を有し、金属液の浸透や砂の付着を効果的に防止します。特に、砂が付着しやすい炭素鋼や合金鋼などの鋳物に適しています。
– オリビン砂も優れた砂付着防止性能を有し、様々な合金鋳物に対して一定の砂付着防止効果を発揮しますが、砂付着防止に対する要求が非常に高い場合、クロム鉱石砂ほどの効果が得られない場合があります。
6. 折りたたみ性
– 鋳造用のクロマイト砂は崩壊性が一般的で、鋳造後の砂中子の洗浄が比較的難しく、特別な洗浄プロセスが必要になる場合があります。
– オリビン砂は崩壊性が良く、鋳造後の砂中子の洗浄が容易なため、洗浄コストと労働強度を削減できます。
7. 応用
適用可能な合金の種類
– クロマイト砂は主に炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼などの鉄系金属の鋳造に使用され、大型鋳鋼品や厚肉鋳物の製造に広く使用されています。
– オリビン砂は、鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム合金、銅合金などの鉄系金属や非鉄金属を含むさまざまな合金の鋳造に適しており、特に鋳物の表面品質と内部品質に対する要件が高い中小型鋳物の製造に適しています。
8. 鋳造工程
– クロム鉱石砂は、精密鋳造や砂型鋳造などの工程でよく使用され、特に鋼鋳物のホットジョイントなど、急速冷却と砂の固着防止が求められる重要部品に使用されます。
– オリビン砂は、精密鋳造、砂型鋳造、ロストフォーム鋳造などの工程で使用されます。優れた総合性能により、様々な複雑な形状や精度が求められる鋳物の製造に適しています。
9. コスト
– クロム鉄鉱の価格は比較的高く、その主な理由は資源が比較的希少であるためです。市場に出回っているクロム鉱石砂は主に南アフリカなどからの輸入であり、コストも比較的高くなっています。
– オリビン砂は資源が豊富で比較的安価であるため、鋳造生産コストを削減できます。















